日本にもあるNTDs:シャーガス病患者さんの体験談

シャーガス病とは、主に中南米に蔓延する寄生虫症で、長い年月をかけて心臓や消化器をむしばむ病気です。以下は、日本在住のシャーガス病患者さんの体験を、JAGntd事務局でまとめたものです。聞き取りは2021年10月から12月までに数回行いました。

私(患者)は南米出身で20歳になる前に日本に移住してきました。20代になってからお腹の調子が悪くなり、腫れや消化不良が続きました。病院で検査をしましたが、原因はわからないままでした。

数年前のことです。私は40代半ばでした。出身国の大使館に出向いた際、シャーガス病の検査をしている研究者の方々に出会いました。せっかくなので、検査をしてもらったところ、陽性反応が出ました。私はとても驚きました。母がシャーガス病陽性だったので、病気のことは知っていました。自分も感染していることを知って、悲しく、心配になりました。でも、薬を飲めば病気の進行を遅らせることができると聞いて、現実を受け止め、治療したいと思うようになりました。

検査をしてくれた研究者の方が、病院を紹介してくれました。でもその病院は住んでいる場所から遠く、行きそびれているうちに、新型コロナのパンデミックが起こりました。遠方の病院に行くのをためらっていたところ、研究者の方が自宅から車で1時間ほどの別の病院を紹介してくれました。幸い、担当の医師はシャーガス病のことを知っていました。スペイン語での会話はできませんが、日本語で話しても、医師の言うことはだいたい理解できます。

これまでに6回ほど病院に行っています。心臓や胃の検査もして、シャーガス病の治療薬を飲むことができそうだと、医師から言われました。検査費用の自己負担分は5万円ほどになりました。少し高いですが、勤め先からの収入があるし、何よりも健康のためなので、支払いはできています。

今は、薬が届くのをひたすら待っています。シャーガス病の薬は日本国内では流通しておらず、海外から取り寄せることになります。数カ月前に外来を受診したところ、薬が届いているはずでしたが、コロナ禍の影響で海外からの輸送が遅れていると言われました。また、保険がきくかわからず、もしかすると15万円ほどの自己負担を強いられるかもしれないそうです。さすがにこれは高額すぎるので、払えるかわかりません。

最初に病院に行ってから、半年以上が経っていて、まだ薬が飲めるかどうかわかりません。仕事をやりくりして病院に行っても、進展なし、という状況が続いています。日本での入手をあきらめ、出身国に里帰りするついでに、向こうで治療薬を手に入れることも考えています。でも、また新型コロナウィルスが流行り始めているので、これも難しいでしょう。

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