グローバルヘルス合同大会2020にて、JAGntdがシンポジウムを主催しました。
シンポジウム:顧みられない熱帯病:日本は次の10年の戦略を描けるか?
Neglected Tropical Diseases: Can Japan build strategies for the next 10 years?
- 日時:11月1日(日)13:15-14:45 (90分)
- 主催:日本顧みられない熱帯病アライアンス(JAGntd)
- 共催:SDGs・プロミス・ジャパン
シンポジウム概要
顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)とは、オンコセルカ症や住血吸虫症など20の疾患群の総称です。開発途上国の貧困層を中心に全世界で10億人以上が少なくともひとつのNTDsに感染していると言われています。その対策は貧困から抜け出すために重要な公衆衛生上の課題とされ、国連による 17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)にも含まれています。しかしながら、いまだに多くの疾患では十分な対策が講じられておらず、さらなる国際的な努力が求められています。
日本はこれまで、官産学民を挙げてNTDs対策を支援してきました。政府からの公的資金の使い道としては、国内の大学によるNTDs研究の発展を促してきたほか、海外では政府開発援助の一環としてNTDs対策事業を実施したり、世界保健機関(World Health Organization: WHO)のアフリカ事務所が実施する集団投薬プログラムに資金を拠出したりしています。近年では、政府のほか企業など民間から資金を調達してNTDs医薬品の研究開発にあてるメカニズムも生まれています。また、独自にNTDs対策に取り組んできた民間団体もあります。このように、日本によるNTDs対策には複数の組織や制度が絡んでいるものの、全体を統括する戦略がないまま、各種事業が動いているのが実情です。そのため、全体像が見えにくく、国際社会からその貢献が認められにくい状況を生んでいます。今後、日本の貢献をより効果的・効率的なものにするには、行政を中心とした中長期的な戦略作りが欠かせません。
世界のNTDs戦略に目を向けると、その中心的な役割を担っているのが、WHOが2012年に発行したNTDs対策指針(通称ロードマップ)です。2020年までの指針として、様々なパートナーがこの文書を活用してきました。今年はその後継版として、2021年から2030年までの新しいロードマップが発行される予定でしたが、新型コロナウィルス感染症の影響で文書の承認や発行が遅れています。現在、新しいロードマップのドラフトがWHOから公開されています。
本シンポジウムでは、まず、この新しいWHOロードマップを、世界のNTDs戦略の方向を示す重要文書として位置付けます。そのうえで、日本政府を中心とした今後10年間のNTDs戦略の在り方について、WHOロードマップとの整合性を考慮しながら議論を深めます。パネリストとして、現在、日本でNTDs対策に関わっている行政関係者などを招きます。議題として、今後10年の日本のNTDs戦略を作るにあたり、日本の関係機関がWHOロードマップをどのように活用できるのか、現在公開されているドラフトに基づき、活用可能性と問題点を議論します。加えて、各機関の垣根を越えて協働する可能性について話し合います。
現在、グローバルヘルスの中心課題は新型コロナウィルス感染症対策で、多くの資源がそのために費やされています。NTDsを含む他の多くの疾病対策では、限りある資源を優先課題に集中させる戦略作りがますます重要になっています。日本として何をすれば、世界のNTDs対策に大きく貢献できるのか、本シンポジウムを通して、ご来場の皆様と共に考えます。
アジェンダ
座長:遠藤弘良(聖路加国際大学公衆衛生大学院)
時間 | 内容 | スピーカー(敬称略) |
13:15-13:20 | 接続確認 | |
13:20-13:25 | ご挨拶 | 遠藤弘良 |
13:25-13:30 | イントロダクション | JAGntd 吉岡浩太 |
13:30-13:40 | WHOロードマップについて | WHO (調整中) |
13:40-14:30 | パネルディスカッション | 外務省国際保健政策室 江副聡
JICA 平岡久和 GHIT Fund 大浦佳世理 製薬協NTDグループ/エーザイ株式会社 飛弾隆之 |
14:30-14:45 | 全体での質疑応答 | 遠藤弘良 |