設立の経緯
Neglected Tropical Diseases (NTDs)は、世界保健機関(WHO)が定義する20の疾患の総称であり、熱帯・亜熱帯の貧困層を中心に世界中で約10億人を超える人々に蔓延して貧困と健康格差の根源となっています。WHOは2012年にNTDs制圧のための「NTDの世界的影響克服の推進-実施に向けたロードマップ」(Accelerating work to overcome the global impact of neglected tropical diseases: a roadmap for implementation: NTD Roadmap)を発表しました。NTD Roadmapには、2020年までにNTD 17疾患を根絶、制圧あるいは制御するための明確な道筋とその手段が定められています。これを受けて、世界の製薬会社13社や各国政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、世界銀行など保健分野の国際組織がロンドンに集まり、2020年までのNTD 10疾患の根絶、制圧あるいは制御を掲げた共同声明「ロンドン宣言」を採択しました。同時にNTD Roadmap実現のために働く世界中のパートナーを支援する共同体「Uniting to Combat Neglected Tropical Diseases」が設立されました。その後、主要国首脳会議(G7)参加国(アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ)では産官民学ネットワークが構築され、それぞれの国内におけるNTD対策の認知度を高め、NTDとの戦いに向けて世界的な協力体制を整えようとしています。
日本はNTD対策に取り組んできた長い歴史があり、その経験をアフリカ開発会議(TICAD)、地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)等を通して世界のNTD制圧に活かしてきました。しかしながら、産官学民が広く参加できるようなNTDネットワークは未だ構築されていません。このような現状を踏まえ、2017年11月のグローバルヘルス関連3学会(日本熱帯医学会、日本国際保健医療学会、日本渡航医学会)の合同大会におけるシンポジウム、さらには、同年12月のUHCフォーラムでのNTDサイドイベントにおいて、日本国内におけるNTDネットワークの必要性が議論され、その構築を目指すことで多くの賛同が得られました。
このような背景から、長崎大学熱帯医学研究所はNTDに関わる全ての個人や団体、組織が連携できる仕組みとしてJapan alliance on Global NTDs (JAGntd)を設立いたします。また、JAGntd事務局は日本の貢献を見える化し、その活動がより効果的なものになるように後押しするとともに、NTD Roadmapに示されたゴールを達成し、「誰一人取り残さない-No one will be left behind」という理念を実現するための中心的な役割を果たすことを目指します。
JAGとは
JAGntdは、日本の「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)制圧活動への参画を促進するため、国内外のNTDsに関わる団体、企業、個人を結び、相互の情報交換を行うネットワークです。事務局を長崎大学熱帯医学研究所内に置いています。
ビジョン
JAGntdは、WHOが定めるNTDのグローバルな目標に貢献します。
ミッション
JAGntdは、グローバルNTDプログラムへの日本の貢献の可視性と有効性を促進します。