「大きな木の下で」と訳せる標題。表紙には大きなマンゴーの木とその青い実を取ってかじる子供たち。木登りが得意な子もいる。一見のどかな風景だが、本書は、この子たちが抱えているであろうひとつの健康問題について書かれている。
昨年発表された本書は、The END FundのCEO、Ellen Aglerが自身の体験や関係者のインタビューを交えながらNTDs対策について記したものである。NTDsに罹るということが低所得国の患者にとって何を意味するのかを生々しく描き出すとともに、この不幸な状況は変えていくことができるという力強いメッセージを発している。とくに強調されるのが、異なる組織が「ともに働く」ことの重要性。NTDsが深刻な健康問題であるとともに、社会開発上は大きな見返りが期待できる投資対象でもある、それを共通の素地として、理解や支援の輪が広がり、アフリカの奥地にまで薬が届くようになる。そのプロセスを追うだけで、ワクワクさせられる。The END Fundは集団投薬を手掛ける組織でありながら、Aglerは薬だけでは問題の根本的な解決にならないことも指摘している点も見逃せない。日本が、自分ができることは何なのか、改めて考えさせられる内容になっている。
ぜひ日本語訳を期待したい。